腎臓、尿管、膀胱にできる石をそれぞれ腎臓結石、尿管結石、膀胱結石と言います。これらを総称すると尿路結石と呼ばれます。尿中の成分が濃縮され結晶となってできた石です。よく間違われるのが胆嚢結石や胆管結石です。これらは肝臓から排泄された胆汁の成分が固まってできた石です。夏場は尿が濃くなるので尿路結石ができやすくなります。尿路結石の痛みを経験した人はあの痛みはもうこりごりだと思っていることでしょう。尿路結石にはいくつかの種類があってそれぞれ成因が違います。

 【蓚酸カルシウム結石】尿中で蓚酸(しゅうさん)とカルシウムが結合してできる結石です。男性にできる結石では一番多い種類です。蓚酸とは耳慣れない酸ですがほうれん草やチンゲン菜など緑色野菜(あくの出る野菜)に多く含まれています。ほうれん草がいくら栄養に良いからといって毎日大皿で山盛りに食べてはいけません。お茶の葉にも多量に含まれるので緑茶や紅茶、ウーロン茶にも含まれています。コーヒーにも含まれています。しかし緑茶などは水分も一緒にとるので制限する必要はありません。カルシウムは牛乳、チーズ、などの乳製品、小魚、などに含まれています。尿路結石のある人は牛乳は1日2本くらいまでにとどめておいた方がよいでしょう。一日に何杯もコーヒーを飲む人はコーヒーを飲むときミルクを入れるのがお奨めです。コーヒーに含まれる蓚酸とミルクに含まれるカルシウムが腸の中で結合して両方ともに吸収されなくなるからです。ほうれん草に鰹節もほうれん草の蓚酸と鰹節のカルシウムが腸内で結合するので理にかなった生活の知恵です。蓚酸カルシウムは尿の濃さがちょっと薄くなっただけでもできにくくなります。汗をかく夏場は特に水分を充分摂取してください(1日2L)。黄色の濃い尿では顕微鏡で見るといつも蓚酸の結晶が見つかります。
ほとんど色のついていないような透明な尿が出るように水分を補給しましょう。

 【尿酸結石】 高尿酸結晶があると“痛風”ばかりでなく尿中に尿酸が排泄され尿酸結石を造ります。多くの尿路結石はカルシウムが含まれているのでレントゲンで白く映りますが尿酸結石はレントゲンに映りません。造影剤を使わないと診断が困難です。尿酸結石は尿が酸性になるとできやすいので尿をアルカリにするとできにくくなります。尿酸結石は尿酸値を下げること、尿をアルカリにすることによって予防できます。

 【リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム】前者はリン酸とカルシウムが結合し、後者はリン酸とマグネシウムとアンモニアが結合してできます。両者ともに尿がアルカリになるとできやすくなります。女性に多い結石です。割合もろくて柔らかい結石ですが反面、できるスピードは速く半年で3cmも成長することがあります。尿路感染が結石形成を促進しますので尿中の細菌のチェックや膀胱炎をきちんと治しておくことが大事です。

うめやま医院 高崎市 泌尿器科