男性の泌尿器科
前立腺肥大症
50歳を過ぎた頃から男性では尿意の回数が増えたり、勢いがなくなったり、切れが悪くなってきます。これらの原因の多くは前立腺にあります。尿道をとりまくように存在する前立腺が歳とともに大きくなり、尿の通り道を圧迫することで発症します。
症状
- おしっこが出にくくなる
- 尿意を催す回数が増加する
- 夜間のトイレの回数が増加する
検査
尿中の白血球や赤血球などの細胞成分、尿蛋白、尿糖、尿潜血、細菌などを調べています。
簡易便器に排尿します。便器の下にはメーターがあって落ちてくる尿量を測定し毎秒何ml出ているか計算します。
PSA高値などでがんが疑われる場合に前立腺に針を刺して細胞を採取し悪性の細胞が有るか無いかを検査します。
超音波を用いて前立腺の状態を調べます。また、排尿が正常にできているか膀胱の機能も評価します。
前立腺細胞の中にPSAという蛋白があります。前立腺に異常があると血液中のPSAが上昇します。正常値は4ng/ml以下で、4以上の場合は前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がんなどが考えられます。
過活動膀胱
膀胱が過剰に反応(活動)する疾患で、ちょっとした神経の異常や膀胱の異常、精神的要素などの影響で尿意を敏感に感じたり膀胱が発作的に突然収縮する病態です。症状としては尿意切迫感が中心となり、それに頻尿や尿失禁などを伴うこともあります。
症状
尿意切迫感
急に起こる、抑えられないような尿意で、我慢することが困難なもの。
昼間頻尿
日中の排尿回数が多すぎる状態で1日8回以上が相当する。
夜間頻尿
夜間排尿のために2回以上起きなければならない状態。(飲酒やお茶のとりすぎで何度も起きるのは夜間頻尿と言うよりも夜間多尿のことが多い。)
切迫性尿失禁
尿意切迫感と同時または尿意切迫感の直後に、ふと尿が漏れてしまうこと。
膀胱に働いての膀胱の過敏性を低下させ、膀胱筋肉が突然収縮しようとするのを抑える薬などでしばし治療します。
尿路結石
腎結石、尿管結石、膀胱結石を総称して尿路結石と言います。
成分はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸、燐酸マグネシウムアンモニウム、などいくつかの種類があります。男女比は4:1で圧倒的に男に多く、好発年令は20代~50代位までです。
症状
- 血尿(目で見える血尿・健診で指摘された尿潜血)
- 疼痛(背部痛。側腹部痛・下腹部痛など)
検査
血尿の有無を調べます。また感染症を併発していないか確認します。
結石の大きさ・局在などを評価します。レントゲン検査で同定可能な結石かどうかは治療方針を決めていくうえで大切な判断材料になります。
腎臓が尿の停滞によって腫れているかどうか調べます。また、レントゲン検査で判断できない結石を調べることもできます。
腎臓の機能に影響が出ていないか、炎症がないかどうか調べます。また、結石を発生しやすい病気が隠れていないか判断します。
前立腺炎
下腹部に不快感や鈍い痛みなどが現れる病気です。
精液がトマトジュースのように赤くなる病気があります。“血精液症”といいます。血精液症の原因の多くは前立腺炎です。前立腺炎による血精液症は炎症による小血管の破綻が原因です。“前立腺炎”は“急性前立腺炎”と“慢性前立腺炎”があります。
症状
急性前立腺炎
細菌が前立腺に入って前立腺に炎症が起こり腫れます。腫れると言っても眼に見えないところなので自覚的にはよくわかりません。炎症による発熱(38度以上)だけのこともあります。発熱によって節々が痛くなったり、寒気がしたり、身体がだるくなるので風邪と診断されることもしばしばあります。前立腺が腫れたことによる排尿痛や排尿困難、血尿などがあります。
慢性前立腺炎
急性前立腺炎が遷延して慢性になってしまう場合と、知らないうちに菌が入り前立腺炎を起こしている場合があります。下腹部不快感、恥骨後部の痛み、陰嚢の裏の不快感や鈍痛、違和感、股の付け根の痛みなどです。STD(性行為感染症)の菌が前立腺に入って慢性化している場合もあります。
細菌性前立腺炎の場合は抗生物質が治療の主体です。重症の場合(39度以上の発熱、食欲低下、排尿困難)は入院して治療することもあります。
痛風
高尿酸血症(血液中の尿酸値が高い状態)で、症状があれば痛風となります。
高尿酸血症の人は、腎機能障害(痛風腎)や腎結石を併発したり高血圧、心臓病、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を合併する事が多いので、たとえ関節の痛みが無くても生活上の注意が必要です。
痛風の原因である尿酸を下げる必要があります。
尿酸を下げる薬には2種類あります。尿酸産生を抑える薬と尿酸の腎臓からの排泄を促進する薬「排泄促進剤」です。尿路結石の人は、排泄促進剤を使うと尿中尿酸濃度が上昇し結石ができやすくなります。そのため、「尿酸産生抑制剤」を使います。尿酸を効率よく排出するためには大量の尿が必要です。
痛風の治療は、他の生活習慣病の合併を予防することが最終的な目標です。