一口に〝膀胱炎〟と言っても奥は深い。これを読めばあなたも明日から膀胱炎の博士になれる。

 【症状】排尿痛(特に排尿終末時痛=小便の最期に膀胱が縮んで壁がこすれ合う時に一番痛くなる)、頻尿、残尿感、時により血尿などである。【熱が出たら】膀胱炎で熱が出ることはない。熱のある時は腎盂腎炎を疑う。
【どういう人がなりやすいか】女性(尿道が短いから)、水分をあまり摂らない人、トイレに行く回数の少ない人(予防のためには1日に少なくとも5回以上は排尿する事)、長い間トイレを我慢する癖のある人

 【膀胱炎になったかなと思ったら】
すぐ当院に来るのがいちばんよろしい。が....旅先だったり、忙しい人のために裏技を伝授。まずコンビニに行く。ウーロン茶のペットボトルを買い2~3時間で2リットルを飲み干そう。そして15分ごとにトイレに行く。つまりウーロン茶で膀胱の細菌を洗い流すわけである。これで半分以上の人が治る可能性あり。少なくても憎悪するのは防ぐ事ができる。よく間違うのは小便すると痛いのでつい水分を控えてしまう事である。小便が濃くなるからかえってしみるし、菌も減らないので膀胱炎も治りにくくなる。

 【治りにくい膀胱炎】普通の膀胱炎(単純性膀胱炎という)なら薬を3~4日間内服すればたいがい改善する。1週間内服しても改善しない時は何か治りにくい理由(基礎疾患)があるかもしれない。膀胱の形がおかしくて、あるいは機能低下があって残尿がある場合、膀胱にポリープなどのおできがある場合、糖尿病などの全身疾患がある場合などが考えられる。40歳を過ぎて膀胱炎が治りにくい時は基礎疾患のリスクを考え超音波検査などが必要である。

 【男の膀胱炎】男は尿道が長いので全年令を通して膀胱炎になりにくい。幼稚園や小学生で膀胱炎になったら先天的な尿路奇形(腎、尿管、膀胱の異常)の可能性がある。若者から中年にかけて膀胱炎症状のある時は前立腺炎や尿道炎の可能性が高い。膿が出ていれば尿道炎は間違い無い。50代以後で膀胱炎になったら前立腺が腫れている可能性がある。膀胱炎が治っても前立腺を治さないとまた患う事になる。

 【落とし穴】女性は尿検査をする時中間尿を採る事。小便の最初と最期は尿道周囲の汚れ(膣からの分泌物など)が混入するので尿検査の上からは膀胱炎と間違われやすい。

 【膀胱炎をくり返す人】膀胱炎は1回1回しっかり完治させる事が大事。膀胱炎が治ったと思ってもまたぶり返す人がいる。自覚症状が無くなり、尿検査ではきれいになっても、膀胱の粘膜はまだ荒れていて細菌には弱い状態である。治ったと言われても1週間くらいは水分を充分とって尿を我慢しないようにすること。

 【慢性膀胱炎】慢性的に下腹部不快感、残尿感、尿道痛などのある人がいる。慢性膀胱炎や閉経後の尿道狭窄、外陰部皮膚や尿道粘膜の抵抗力の低下などが原因となっている事がある。これで悩んでいる人は意外と多い。急性期のような激しさはないが慢性的な症状なのでそれだけにつらいところがある。自分だけだと思わずに相談して欲しい。

うめやま医院 高崎市 泌尿器科