健康診断や人間ドックの普及で無症候性(症状の無い)高尿酸血症(=血液中の尿酸値が高い状態、症状があれば痛風)の患者さんが増えています。味覚の秋に野暮な話ですが今回は“痛風”の話です。痛風の一番有名な症状は痛風性関節炎で、足の母趾の付け根が赤く腫れて痛くなります。足首や膝が痛くなる事もあります。血液中の尿酸の値が8mg/dl以上になるとその危険が出てきます。関節液中の尿酸が溶けきれなくなって、関節の中で結晶を造り、白血球がこれをどんしょく貪食する(白血球は身体にとって有害な物を攻撃する性質がある)ので、炎症反応が起こり、赤く腫れて痛いのです。高尿酸血症の人は腎機能障害(痛風腎)や腎結石を併発したり高血圧、心臓病、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を合併する事が多いので、たとえ関節の痛みが無くても生活上の注意が必要です。

 痛風は昔から“ぜいたく病”、“王様の病”などと言われているようにおいしいものを食べつづけていると痛風になります。痛風の原因である尿酸は蛋白質(の中に多量に含まれるプリン体)が身体の中で分解されてできた産物です。細胞から血液、血液から腎臓に運ばれ尿に排出されます。血液中の尿酸を下げるにはまず食べる蛋白質の量を減らす事です。痛風になりやすい人は、よく遊びよく仕事をする人(積極的性格と言うそうです)、またよく食べよく飲む人に多いようです。肉食に偏った人は野菜を充分取るようにしてください。同じ肉でも内臓肉の方が尿酸は上がりやすくなります。ホルモン、レバー、あん肝、白子などです。次に注意するのはお酒です。酒を分解するのにエネルギーが使われ尿酸ができやすくなります。またビールには大量の酵母が使われ、酵母の中のDNAが尿酸のもとになりますので、アルコール類の中ではとくに痛風(=高尿酸血症)の人にはよくありません。ビール大ビン1本には尿酸の原料(プリン体と言います)が同量のアルコール分の焼酎の500倍、日本酒の15倍あります。またビール大ビン2本飲むと1日の尿酸合成量が1割増えると言われています。ホルモンと生ビールも結構ですが、痛風の人は湯豆腐と焼酎のほうが良いようです。

 尿酸を下げる薬には2種類あります。尿酸産生を抑える薬と尿酸の腎臓からの排泄を促進する薬です。尿路結石の人は排泄促進剤を使うと尿中尿酸濃度が上昇し結石ができやすくなります。だから尿酸産生抑制剤を使います。尿酸を効率よく排出するためには大量の尿が必要です。だから水分をどんどん取ってください。また尿酸は尿を酸性にするのでそれをアルカリに戻す薬(クエン酸)が尿酸を大量に捨てるために必要です。

 痛風の治療と言うのは痛みの発作を抑えたり、血液中の尿酸値を下げることばかりが目的ではありません。他の生活習慣病の合併を予防することが最終的な目標です。事実、痛風、糖尿病、高血圧、高脂血症などが揃った状態は一時期“死の四重奏”などと呼ばれ、将来、脳血管障害や心臓病などの危険が高くなります。ですから、このうちのいくつかが当てはまる人は特に注意してください。

うめやま医院 高崎市 泌尿器科