尿は患者さんの苦痛が少なく排泄され、また身体の様々の状態を反映することから、病院での一般診察や人間ドックなどの健康診断でしばしば行われています。では尿検査でいったい何がわかるのでしょうか。

 尿の採取方法:受付で渡されたコップに尿を取ります。初尿を取っていただく場合と中間尿をとっていただく場合があります。一般健康診断や女性の膀胱炎の場合は中間尿を採取しますが男性の尿道炎や女性の膣の炎症などのときは初尿が診断に役立ちます。いずれも底から1~2cm位あれば十分検査できます。

 試験紙による検査:採取された尿はまず試験紙で検査します。当院ではpH、潜血、蛋白、糖、ケトン体、ウロビリノーゲンを調べています。 pHは尿の酸性度、アルカリ度を調べます。酸性に傾くと尿酸値の高い人や男性では腎臓に結石ができやすくなり、アルカリに傾きすぎると細菌の関係する結石ができやすくなります。潜血検査は尿中に血液成分であるヘモグロビンがあるかどうかを調べます。普通は-ですが度合いにより±、+、2+、3+、になります。陽性の場合には腎泌尿器系や筋肉、血液などの異常が疑われます。蛋白検査、普通は-です。陽性の場合は腎泌尿器系の異常や骨髄疾患などが考えられます。高血圧や糖尿病で腎臓に合併症を起こしている場合も診断できます。しかし運動をした後では陽性になることもあります。少し立っていただけでも陽性になる人もいます。起立性蛋白尿と言ってこれは病気ではありません。朝起きて一番の尿(早朝尿)で蛋白が陽性かどうかが診断の決め手になります。糖検査は健康な人は-です。尿糖の出具合によって±、+、2+、3+と増えていきます。食後などで尿糖が陽性になると糖尿病の疑いが出てきます。食前でも尿糖陽性の人はかなり血糖値が高い可能性があります。血液検査で血糖値を測ると糖尿病かどうかはわかります。血糖値が高くないのに尿に糖が出るのは腎性糖尿と言って腎臓から糖が少し漏れやすいタイプの人です。病気ではありません。ケトン体は食事が取れないときや、下痢嘔吐などで体調を崩したときに陽性に出ます。糖尿病の重症度も反映します。ウロビリノーゲンは肝障害の簡単なスクリーニング検査になります。これらの試験紙検査はビタミンCの影響を受けます。栄養剤としてビタミンCを飲んだときは正確な検査ができません。

 尿沈査顕微鏡検査:試験紙検査が終わると尿を試験管に移し遠心分離機にかけます。5分くらい遠心分離をすると尿の中の細胞が重さで試験管の底に溜まります。これを集めてスライドガラスの上に乗せ顕微鏡でよく調べます。白血球、赤血球、様々な細胞、細菌、結石の成分となるような結晶(蓚酸、尿酸、燐酸カルシウム等)、…などを調べます。白血球が混ざっているときは膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎などの尿路感染症が疑われます。赤血球が混じっているときは腎臓病、炎症、結石、腫瘍などの可能性があります。慎重な検査が必要です。当院でできる尿検査はここまでです。

 その他としては尿中のホルモンを調べることによって特殊な高血圧、副腎機能、子供の腫瘍、妊娠反応、などがわかります。
このように尿検査は腎泌尿器系の観察と全身状態の把握というふたつの役目を持っています。 

うめやま医院 高崎市 泌尿器科