性器ヘルペスについて知っていただきます。性器ヘルペスとは単純ヘルペスウイルスの感染によって起こる性器の皮膚の炎症です。性交渉などの感染の機会があってから2~7日して男性では亀頭、陰茎の頚周り、その少し付け根などの皮膚にでき、女性では外陰部(膣の入り口の周囲の皮膚)にできます。肛門のまわりにできることもあります。初めは皮膚がピリピリし小さな赤い水泡ですが、その後皮膚に小さな潰瘍(水泡がつぶれた跡)ができます。潰瘍の周りは赤くなっていて少し隆起している事もあります。水疱は見逃す事も多いのですが水疱があったか無いか、痛みが有るか無いかで診断が変わる事もあります。

 単純ヘルペスには1型と2型があります。1型は主に口唇とその周囲、顔面に感染します。風邪をひいたときなどに唇の周囲にできるのが1型です。単純ヘルペスは感染力が強く、直接接触のほかに、ウイルスのついたタオルや食器などを介しても感染します。1型はこのように性行為とは関係なく、知らない間に乳幼児期に感染し自分で抵抗力を持っている事も多いとされます。以前は多くの人が1型に対して抗体を持っていたのですが、核家族化、衛生状態の普及により抗体を持っている人は20代で半数以下になったと言われます。乳幼児期の感染は症状が無いかあっても軽いのに、大人になってからの初感染は症状が重くなりがちです。また1型に対して抗体を持っていると2型に対しても感染しにくく発症しても軽微です。
2型は主に外性器に感染を起こします。初感染時には激烈な皮膚炎を起こし、激しく痛み、リンパ腺も腫れる事があります。このような場合は入院して点滴による治療が必要なこともあります。

 性の多様化により1型ヘルペスが性器に感染を起こすこともあります。

治療

 再発の予感がしたら、あるいはヘルペスの症状が出たら早い時期に治療を始めるほうが治りも早くなります。治療にあたっては軟膏や錠剤の抗ウイルス剤を使います。症状が強い場合は点滴をしたほうが効果があります。しかし抗ウイルス剤はウイルスの遺伝子に働いてウイルスの増殖を抑制するもので、ウイルスを殺す作用は無く、また、神経節に潜んでいるウイルスには効果がありません。したがって、症状が出ている間、特に初めのウイルスが増殖している時期が良い機会なのです。
予防:ヘルペスウイルスは一度感染すると、その後神経節(神経の根元の太い塊)に潜んでいます。精神的、肉体的ストレスなどにより、体力や抵抗力が落ちてきたときに増殖し暴れます。普段から、無理の無い生活で、疲れたら休養を十分に取ってください。

 感染力: 症状の出ているときにはウイルスの量も多く、感染源になるので、人との接触には注意が必要です。ウイルスは唾液、精液、膣分泌物などの中にいます。とくに水疱の中にはたくさんのウイルスがいます。必要以上に触らないようにしてください。患部に触れたり、薬を塗った後は手を洗います。痒くてもかさぶたは破らないように、タオルの共用は避けます。しかし下着やタオルは他の洗濯物といっしょに洗って大丈夫です。

うめやま医院 高崎市 泌尿器科