女性の泌尿器科
血尿
尿は腎臓で造られます。その後、尿管を通って膀胱に溜まり尿道から排出されます。
尿に血が混じった状態を血尿と言います。血が混じる原因として、腎臓、尿管、膀胱、尿道のどれかに異常があると考えられます。
肉眼的血尿は、血を吐いたと同じくらい重要だと考えてください。たった1回の血尿でも自己判断で放置することは危険です。膀胱がんも場合もありますので、たとえ1回でもすぐに来院してください。
尿失禁
尿失禁で悩む女性が増えています。統計では30代では20%、40代では30%、50代以上では40%~50%の方でなんらかの尿失禁を経験していると言われています。
人は普通300~400mlの尿を溜めることができます。蓄尿時には膀胱の筋肉は伸びますが、出口を取り囲む括約筋は締まる様に大脳によって指令されます。膀胱の拡がりが悪くなって蓄尿量が少なくなるか出口の締りが悪くなった時に尿失禁が起こります。女性は男性よりも尿道が短く、前立腺が無いために構造的に尿失禁が起こりやすくなっています。
尿失禁のタイプは「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「溢流性尿失禁(いつりゅう)」に分かれます。
症状
腹圧性尿失禁
咳、くしゃみ、縄跳び、階段を下りるときなどお腹に力がはいった時にちょっと漏れる状態。
切迫性尿失禁
尿意を感じるとトイレへ行くまでに我慢しきれず漏らしてしまう状態。
溢流性尿失禁(いつりゅう)
膀胱に尿がたまりすぎてあふれた分が尿道からチョロチョロ漏れる状態。
腹圧性尿失禁:
理学療法:イスに座って背筋を伸ばし、息を吸い込みながら肛門をお臍の方に近づけます。近づけたらそのまま5秒数えて緩めます。これを10回ほどしてみましょう。これを1日3回、1~2ヶ月やれば必ずよくなります。(骨盤底筋体操)
薬物療法:内服薬にて治療します。
切迫性尿失禁:
理学療法:自分で尿を溜めて我慢する練習をします。(蓄尿訓練)
薬物療法:内服薬にて治療します。
溢流性尿失禁(いつりゅう):
前立腺肥大などの病気が隠れています。
過活動膀胱
膀胱が過剰に反応(活動)する疾患です。ちょっとした神経の異常や膀胱の異常、精神的要素などの影響で、尿意を過敏に感じたり膀胱が発作的に突然収縮する病態です。症状としては尿意切迫感が中心となり、それに頻尿や尿失禁などを伴うこともあります。
症状
尿意切迫感
急に起こる、抑えられないような尿意で、我慢することが困難なもの。
昼間頻尿
日中の排尿回数が多すぎる状態で1日8回以上が相当する。
夜間頻尿
夜間排尿のために2回以上起きなければならない状態。(飲酒やお茶のとりすぎで何度も起きるのは夜間頻尿と言うよりも夜間多尿のことが多い。)
切迫性尿失禁
尿意切迫感と同時または尿意切迫感の直後に、ふと尿が漏れてしまうこと。
急性膀胱炎
排尿終末時痛、残尿感、頻尿などの症状が突然でてきます。尿を我慢したときや、普段から排尿回数の少ない(1日3~4回)人に起こりやすいです。
膀胱炎を繰り返さないためには、普段から充分、飲水すること、排尿を我慢しないことが大切です。
症状
- 排尿痛(特に排尿終末時痛=小便の最期に膀胱が縮んで壁がこすれ合う時に一番痛くなる)、頻尿、残尿感、時により血尿などである。
- 膀胱炎で熱が出ることはない。熱のある時は腎盂腎炎を疑う。
普通の膀胱炎(単純性膀胱炎という)なら薬を3~4日間内服すれば改善します。1週間内服しても改善しない場合は何か治りにくい理由(基礎疾患)があるかもしれません。
膀胱の形がおかしくて、あるいは機能低下があって残尿がある場合、膀胱に腫瘍や結石がある場合、糖尿病などの全身疾患がある場合などが考えられます。
40歳を過ぎて膀胱炎が治りにくい時は基礎疾患のリスクを考え、超音波検査などが必要があります。
膀胱炎は1回1回しっかり完治させる事が大切です。
膀胱炎が治ったと思ってもまたぶり返す人がいます。自覚症状が無くなり、尿検査ではきれいになっても、膀胱の粘膜はまだ荒れていて細菌には弱い状態です。治ったと言われても1週間くらいは水分を充分とって尿を我慢しないようにしてください。