小学校の頃プラスチックの小さな容器に便を入れ、紙のふたをして持っていった記憶があります。たしかその前は、マッチ箱でした。数学者の秋山先生は締め切りの日になってもウンコが出ないので、飼っていた犬のウンコをマッチ箱に詰めて持っていったそうです。そしたら、保健の先生が青い顔をして秋山先生を呼び出したそうです。検査の結果が寄生虫だらけだったようです。

 ところで先日、高校の同級生のT氏から電話がかかってきました。“ドックに入ったら検便の検査で潜血反応が出た。2回検査したうち1回が陽性だった。どうしたらよいか。”と言うのです。検査をして結果が出るまではなんとなく不安なものです。おまけに結果が陽性と出ればなおさら不安になります。ところが根っから横着な彼は“1回だけだから精密検査は受けなくてよいだろう。”と言う下心を、私に保証してほしくて電話をしてきたのです。私はきちんと検査を受けるよう説得いたしました。

 便潜血陽性と言うのは目で見てわからないような微量の血が便中に混じっているということです。以前は肉やマグロの赤味を食べたあとでは陽性に出てしまうことがありましたが、現在の検査法では、人間の血液にだけ反応するようになっていますので、食事の影響ではありません。口から肛門までの間のどこかの臓器で僅かながら出血があるわけです。具体的には歯磨き時の出血、鼻血、胃や十二指腸からの出血(急性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん)、大腸疾患(大腸ポリープ、大腸憩室症、大腸炎、がん)、痔(いぼ痔、さけ痔)などの可能性があります。

 検査方法は内視鏡検査がおすすめです。腸粘膜の凸凹に加えて色合いがわかりますからよりレントゲン検査より正確性が増します。内視鏡検査では腸の中に便が残っているとうまく検査ができません。下剤を飲んで腸を空にし手から行います。
ポリープというのはきのこのような出っ張った形のものを総称して言います。良性の場合も悪性の場合もあります。腸の中を便が通過するときこの出っ張りがこすれて?あるいは出っ張りの表面の小血管が破れて出血するわけです。ポリープが悪性かどうかはとったポリープの組織を顕微鏡で見なくてはわかりません。細胞の並び方や核の構造など(病理検査)から診断します。ポリープは根っこからとらなくては意味がありません。小さいうちなら内視鏡でおなかを切らずに摘出できますが、大きくなるとおなかを切って腸の壁といっしょにとらなくてはならなくなります。取り残しを防ぐためです。内視鏡なら日帰りまたは一泊か二泊の入院ですが、腸を切った場合は最低でも1週間の入院となってしまいます。早めに検査をしたほうが良いという意味がわかっていただけたでしょうか。

ところでT氏転勤したばかりだとまだ検査を渋っています。上司がいないと部下も喜ぶからと早めの検査を勧めました。検査が終わったら一杯やろうと言う事で。

うめやま医院 高崎市 泌尿器科