若い頃ならいざ知らず、歳をとってから転ぶと良いことはありません。

 

尻もちをつけば腰椎圧迫骨折、

横に倒れれば大腿骨頸部骨折、いずれも重症で寝た切りの原因になりかねません。前に転んでとっさに手をつけば腕の骨がポキ!前腕の骨折です。この三つが年寄りの三大骨折です。若いつもりでも骨は確実に骨粗鬆症となっています。加齢現象ですから避けられません。その証拠に身長を計ってみてください。みんな若い頃より1-2cmは短くなっています。こういった骨折が多いのは圧倒的に女性です。女性ホルモンと骨粗鬆症は密接に関係しています。骨は生き物で、絶えず造られ(骨新生)、その一方で絶えず破壊され(骨吸収)ています。閉経を迎えると女性ホルモン量が急激に減少するため、骨新生より骨吸収が多くなるので骨粗鬆となります。美魔女と言われるような人々でも、例外のないのが老化です。
 
 

転んだ時の注意がもう一つ、

慢性硬膜下血腫です。脳みそは頭蓋骨に守られています。空手では頭突きで瓦を何枚も割っています。少なくても頭蓋骨は瓦何枚か分の硬さがあるようです。ブッチャーやザ・デストロイヤーなどプロレス技での頭突きを見ると頭蓋骨はなんて硬いのだろうとびっくりしてしまいます。でもきっと…..、裏ではいろいろな事件や後遺症が起きているに違いないと私は考えています。
 

慢性硬膜下血腫は時間がたって起きるのです。

 脳の表面から頭蓋骨の内側の膜(硬膜)に向かって伸びる静脈があります。ちょうど脳と頭蓋骨を結ぶかけ橋のようになっているので橋静脈と呼ばれます。転倒して頭を打った時に脳みそは頭蓋骨で守られます。しかし硬い骨の中で、もめん豆腐のように柔らかい脳みそは、変形し偏ります。硬い骨と脳表面の間にずれが生じそこにかかる橋静脈が引っ張られ、引きちぎられます。指を切った時などの出血はふつう押さえていれば止血されますが、橋静脈は頭の内なので圧迫できません。静脈から徐々に出血がおこり頭蓋骨の中で脳を覆う硬膜の下のスペースに血液の塊を造ります(硬膜下血腫)。
 もともと脳と硬膜の間には隙間があります。加齢で脳の委縮があれば隙間はもっと大きくなっています。そのため出血が続いていても症状が出現するまでに2~3週間から2~3か月かかります。血腫の多くは大脳のどちらか一側にできるので、圧迫された脳の側の神経症状を起こします。右側であれば左半身の麻痺(筋力低下)、左側であれば右の筋力低下、具体的には歩いてよたよたする、自転車でよく転ぶ、箸がうまく持てないなど。その他、頭痛、めまい、性格変化、もの忘れ、めまい、など多彩です。認知症かと思ったら慢性硬膜下血腫だったと言うこともよく遭遇します。脳のMRIやCTを撮れば一発で発見できます。ちっさいものなら自然吸収を待ちますが、多くの場合は小さな穴を骨に空け血の塊を吸い出します。症状は劇的に改善します。