腎臓はどんな役割をしているのでしょうか?
腎臓は2個、両脇腹にあります。腎臓に流れる血液は心臓の全拍出量の4分の一で1分間に1~1.2リットルもあります。腎臓は握りこぶし大の臓器ですが、血液をろ過して1日で150リットルの老廃物質を含んだ液を作ります。その後これを腎臓の中で少しずつ濃縮し100倍の濃さにします。結局、1日の尿量は1~1.5リットルくらいになります。最終尿には蛋白や糖が含まれることはありません。尿にタンパクが出るのは、慢性腎炎や高血圧による高血圧性腎硬化症などの病気が考えられます。尿糖が出るのは血糖値の上昇(糖尿病)を反映しています。腎臓の機能には予備力があるので何かの病気で腎臓を1個摘出してももう一つの腎臓があれば日常生活は十分に暮らすことができます。
ところで腎臓の機能は単に尿を作ることばかりではありません。
① 血圧の調整をする。
血圧が低いと腎臓に流れる血液量は少なくなります。腎臓の血管はこれを感知してレニンと言う昇圧物質を分泌し身体じゅうの血圧を上げます。
② ナトリウム量を調節
血液中の塩分が多いとこれを尿にたくさん捨て、逆に塩分が足りない時にはいったん尿中に捨てた塩分を回収(尿が通る尿細管の壁から再吸収)します。塩分摂取量が多いと尿量も増えます。
③ 血液の中性を保つ
血液が酸性になると酸を捨て、アルカリ性になるとアルカリ物質を尿に捨てます。
④ 貧血を予防する
腎臓の細胞からエリスロポエチンと言う造血ホルモンが出てこれが骨髄に命令し血を造る働きがあります。腎臓病になるとこのホルモンの分泌が減るために貧血に(顔色が悪く)なります。今では人工的にエリスロポエチン注射薬が造られるようになって血液透析をしている人の貧血が治療できるようになりました。
⑤ ビタミンDを造る。
シイタケなど食事中に含まれるビタミンDはそのままでは作用できません。腸管から吸収されたビタミンDが血液中にとりこまれ腎臓に行き活性型となってはじめて効果を出します。
⑥ 身体の水分量を調節する。
夏汗をかいた時には尿を濃くして(水分の再吸収量を増やし)身体の水分を保つようにします。ビールを飲んだ時には尿を薄くしてたくさん水分を排泄するようにします。
★尿の色が黄色いのは
血液中のビリルビンと言う物質が変化して尿に出てきたものです。赤血球は120日の寿命を終えると脾臓で分解されます。その時に赤血球中の主要蛋白であるヘモグロビンが出ます。ヘモグロビンは肝臓に運ばれビリルビンになりビリルビンの一部が変化して尿中に排泄されます。肝臓病があるとビリルビンがたくさん尿中に出てくるので尿が濃い黄色(オレンジ色や褐色)になります。
★腎臓の機能の目安
血液検査項目の中の“クレアチニン”が指標です。クレアチニンは筋肉が分解したときに出る老廃物質で、腎臓の濾過機能が低下すると血液中に蓄積し上昇します。超音波検査で腎臓の形や大きさからも腎臓の異常を発見できます。
★腎臓は老化する。
腎臓の機能は加齢により低下します。血圧や血糖の影響を受けるので、高血圧や糖尿病のある人では日頃の注意が大切です。