50代の主婦が野良ネコに噛まれ10日後に死亡したという事件がありました。

 野良ネコはマダニが媒介するSFTSのウイルスに感染しており、主婦がSFTSを発症したのが、原因だったようです。SFTS(重症熱性血小板減少症:severe fever with thrombocytopenic syndrome)が猫から人に感染した例は、世界で初めてという事ですが、一般的にはマダニに噛まれ発症する動物媒介感染症です。高熱、腹痛、下痢、筋肉痛、頭痛などとともに血小板減少による出血が起こり、多臓器不全となり死亡することがあります。50代以上では致死率が20%以上といわれます。治療薬がないのでとにかくマダニに噛まれないことが大切です。
 
 ダニは小型と大型に分かれます。小さなダニは布団や衣類、カーペットなどの中に住み着きアレルギーの原因となるヒョウダニや小麦粉などの食品につくコナダニがいます。一方マダニは大型ダニで、人間や獣にくっついて皮膚を咬み数日にわたり吸血します。痛みや痒みはありませんが膨らんでくると見つけやすくなります。吸血時ダニから出る唾液が体内に入り込み様々な病気を媒介します。

ツツガムシ病

 ツツガムシ病はダニの一種のツツガムシによって媒介される動物媒介感染症(人獣共通感染症)です。かつては新潟、山形、秋田などで夏に信濃川、阿賀野川、最上川などの河川敷で感染する死に至る風土病として恐れられていました。リケッチアを持つアカツツガムシに吸着され発症します。春から夏にかけて発生します。一方で赤ツツガムシ以外のツツガムシによって媒介されるツツガムシ病があることもわかりました。これは群馬を含め全国で発生しています。ツツガムシは土中の昆虫の卵などを捕食していますが、卵から孵化した直後の幼虫期に哺乳動物に吸血します。ツツガムシ病の発生はツツガムシの産卵期に関係し、関東から九州では秋から初冬に、東北や北陸では春から初夏にも発生が見られています。

 ツツガムシ病の症状は、発熱、倦怠感、頭痛、リンパ節の腫脹、皮膚の発疹、皮膚の刺し口です。刺し跡は周囲に発赤のある水疱で時間の経過とともに膿疱となり黒化した痂疲となります(図)。つまりインフルエンザ同様の症状で始まり少し遅れて刺し口が見つかるという状況です。ツツガムシ病にはテトラサイクリンという抗生物質が有効です。

 ツツガムシ病もSFTSも極めてまれな疾患ですがキャンプ、ハイキング、登山、山菜取り、釣りなどアウトドアスポーツでダニに噛まれないように長袖や虫よけスプレーなどの対策を頭に入れておいてください。私は高崎市内でもマダニを3回位発見したことがあります。庭仕事でも注意が必要です。もしマダニに噛まれてもあせることはありません。ウイルスを持っているマダニは極めてまれです。刺して初期のうちは血を吸うだけで唾液を注入するのは時間が経ってからです。 また、慌てて取って体をつぶすとその時に菌が注入されてしまいます。そっと取り除くために病院へ行きましょう。