“はいチーズ”と言えば集合写真の定番“AKB”や”ウイスキー“というのもありました。”ィー“と言うと口が横に拡がって笑顔になるからです。ひょっとこのように口を突きだしたり、片眼を閉じてウインク、しかめっ面、など顔の表情は多彩です。顔には多数の筋肉(表情筋と呼ぶ)があるために微妙な変化をだせるのですが、それを動かしているのが顔面神経です。顔面神経は脳から出ると頭蓋骨を通過し顔に到達します。耳の裏の側頭骨に細いトンネル状の穴(顔面神経管)がありそこを通り表面に出てきます。枝分かれして上はおでこ、中は眼や鼻の周り、下は口元まで伸びて顔全体の表情を造ります。顔面神経の一部は涙腺、唾液腺の分泌、舌の味覚にも関係しています。

 ところで、正座を長時間していると足がしびれて立ち上がれなくなります。血液が遮断され神経細胞が死にかかったためです。もっと長く座っていたら神経がマヒして足が動かなくなります。
もし、顔面神経が炎症などで腫れた場合に、骨のトンネル(顔面神経管)の中で圧迫され血液阻血が起こり神経細胞が壊死してしまいます。この状態を顔面神経麻痺と言います。原因としてはヘルペスウイルスなどが関与していると言われていますが、まだ完全には解明されていません。

 症状の発症は比較的急なことが多く1~2日で急速に進むこともあります。口が締まらなくなって口角が垂れ唾液や食物がこぼれます。目を閉じることができない、額のしわを造ることができないなど顔の筋肉の動きに異常が出てきます。完全麻痺と不全麻痺があり症状の具合は様々です。
脳腫瘍や脳卒中、ダニによる感染(ライム病)などが原因の事もあります。

 重症例では麻痺が顔の変形として残ることもあるので迅速な治療開始が必要です。耳鼻科、神経内科、脳外科が担当しています。ステロイドのパルス治療が主体となりますが、治療抵抗例では高圧酸素療法、星状神経節神経ブロックなども行われます。この病気では神経の治癒過程で間違って神経がつながるために食事をすると普通は唾液が出るのですが、食事で涙が出てくることもあります。