プロ野球選手や芸能人が疲れた時に打つというので有名になった“ニンニク注射”それって本当に疲労回復に効くのでしょうか?

 医師100人に出したアンケート調査の結果では、「自分の家族や親しい友人がニンニク注射を望んだ場合に賛成しますか?」と言う問いに、“賛成”あるいは“強く賛成”したのはわずか20%でした。それに対して“反対”あるいは“強く反対”したのは59%にのぼりました。

“ニンニク注射”は言葉通りにニンニクの成分が含まれているわけではありません。

 ニンニク注射の成分はビタミンB群です。ビタミンB1,B2,B6などが含まれていますが、注射されたB1が血液に入り鼻の粘膜に達したときにニンニクの匂いがするのでニンニク注射と呼ばれるようになったのです。医院ではビタミンCを加えたり成分を変えたりして独自のニンニク注射を宣伝しています。2,000-3,000円の費用です。ビタミンB群には疲労回復作用がありますが、常識で考えてみた場合、健康な人で普通に食事をとっていればニンニク注射の必要はありません。2,000円分の食事をとった方がニンニク注射よりはるかに大量の栄養が手に入ります。また、注射で大量に摂ってもビタミンBは水溶性なので使われなかった分は尿から出て行ってしまい体内に貯蔵できません。ニンニク注射は栄養ドリンクなどと同様、精神的効果?だけです。

 

ところで、本家のニンニクの栄養素はどうなっているのでしょうか?

 ニンニクには大量のビタミンB群の他、鉄や亜鉛、マグネシウム、マンガンなどの微量金属も含まれています。ニンニクは強壮作用があると言われ、禅宗ではその昔、強壮作用が淫欲を増すとして、ニラやネギとともに食が禁じられていました。しかし現代ではニンニクを食らって強壮(淫欲)になるとはだれも考えていません。その臭いや刺激が強いことからそんな錯覚をさせるところがあるのでしょう。ニンニクは球のままの時はたとえ生でも臭いがありません。ニンニクを切った時に細胞の中にあるアリインと言う化合物とそれを分解するアリナーゼと言う酵素が別々に細胞から出てきて混ざり、その結果アリインがアリシンとなりこのアリシンが独特の臭いの素となります。刻んだり叩いたりするほど臭いは強くなります。このアリシンには抗菌作用があります。

 ニンニクの臭い消しには緑茶(カテキン)が有効です。とはいっても限界がありますが。餃子と一緒にお茶を飲むとアリシンが体内に吸収されるのを抑えニンニク臭は減ります。が、それって栄養学的には、ニンニクの一番の栄養素アリシンを吸収しないのでニンニクを食べる意味がないのではないかと思ってしまいます。臭いのしないニンニク○○などのサプリメントも同じ理屈、手軽ではありますがこれらの健康効果について私は疑問を持っています。

食の基本は?

 餃子、カツオのたたき、ホイル焼き、揚げニンニク、ガーリックライス、ステーキ、ペペロンチーノ、 キムチ、….など 和、仏、伊、中、韓、様々な料理で香辛料や調味料として、あるいはそれ自体がかかせない役割がありますが、ニンニクの役目は味を締める、香りをつける、素材を引き立たせるなど食材としての価値であって栄養源としては特別際立つものではありません。ニンニク、ゴーヤ、ニンジン、ゴボウ、ホウレンソウ、カボチャ、….どれも比較できないほどの栄養素が豊富に入っています。いろいろなものを食らう。食の基本であり健康の基本です。