【医学的な延命処置を拒否する意思表明書】

 私は10年程前より老人ホームの嘱託医をしています。2週間に一度、往診をして50代~90代までの20名ほどを診ています。脳梗塞や脳出血の後遺症、認知症などで、車いす生活や寝たきりになっている方がほとんどです。
  食事も自分の力では摂れずに介助をしてもらったり、嚥下ができないために、胃瘻と言って胃に穴をあけてそこから流動食を注入しています。認知症が進み自分では食事をとる事ができなくなったり、歩く意欲がなくなり歩けなくなってしまった(廃用症候群)人もいます。
  

誰もが病気にはなりたくありませんが、

 脳卒中や認知症はいつ自分の身に降りかかってくるかもしれません。現代の医療は患者の命がある限り治療を続けるという原則に立って行われています。その結果植物状態になってからも人工呼吸器をつけられていつまでも入院しているということが少なくありません。延命治療が安らかな死を阻害しています。意思表示ができるのは健康な時の自分しかいません。当院に通院されている方の中でも、いざという時に無駄な延命治療を受けたくないので、元気なうちに自分の意思を書面にしておきたいと考える方がいらっしゃいました。現在の法律上では書面(私文書)での有効性は100%ではありませんが、医者や家族にとって治療を選択するときの参考になっているのは事実です。日本尊厳死協会のホームページを参考にして以下のようなものを用意しました。これを参考に皆さんが自筆で書いてもよいでしょう。また同じような書類が病院で用意してあります。ご希望があればお申し出ください。

文例

  
 これは私の精神状態が健全な時に署名捺印したものであることを宣言します。
この‘医学的な延命処置を拒否する意思表明書’は私の病気が現代の医療により回復不可能な状態であり、また、死が避けられない場合に備えて、私の家族、そして私の医療に関係するすべての方々に私の意思を表明するものです。私の精神状態が健全にある時に私自身がこれを撤回しない限り変わることはありません。

私の意思表明
・私の病気が現代の医療では回復不可能な状態であり、死期がせまっている時は私に告知をして下さい。
・手術、点滴、薬剤など死期を伸ばすためだけの処置は拒否します。
・私の苦痛を和らげるための処置は拒否しません。最大限の処置をお願いします。苦痛を和らげるために死期が早まったとしてもそれは私の意思です。
・私が植物状態となり、数か月を経過したときは一切の生命維持装置を取り外してください。それによって死に至ることがあってもそれは私の意思です。
以上、私の意思の確認のためにこの文書を作成し、2名の署名人とともに署名しました。この要望を実行してくださるすべての方々に心から感謝の気持ちを表明させていただきます。また私の要望を実行してくださる行為の責任はすべて私自身であることを確認します。

署名日     年   月   日

名前                                 生年月日                    

住所

立会人1氏名                 住所

立会人2氏名                 住所

うめやま医院 高崎市 泌尿器科