冬場に流行る“ノロウイルス”はどんな病気?

  1968年にアメリカで起きた集団胃腸炎感染の原因が新型のウイルスでノロウイルスと命名されました。カキを食べてあたった人は二度とカキを食べたくなくなるそうですが、それほどひどい症状なのです。ノロウイルスは人間の腸管内に入って腸の炎症を起こします。体内で増殖し糞便中に多量に排出されます。糞便として下水から下水処理場に流れたウイルスは一部処理しきれないために川に流れ込みます。川から海に流れ込んだウイルスは河口の湾で、養殖されているカキなどの貝類にプランクトンと一緒に取り込まれます。カキなどは常に海水を取り込んでいるので中で蓄積され、たまたまそれを生で食した人がノロウイルスに感染します。食べた人以外にも、感染した貝類を調理する時に手指や調理機器に付着したウイルスが次に調理した料理に紛れ込み、貝類以外の食材でもノロウイルスに感染することがあります。
  感染者の糞便、吐物中には数千万、数億のウイルスが排出されています。汚物を処理するときに手や服に着いたウイルスが口から入って次の人へと感染(手口感染)を起こします。ウイルスは本来生体内の細胞でしか長く生きることはできません。しかしノロウイルスは生体外の乾燥状態でも生存するために、放置された吐物や、飛び散った糞塊から空中へと飛散しそれを吸い込んだ人に感染(空気感染)させる可能性があります。空調により施設全体に飛散し集団感染を起こすことも報告されています。近年、食品よりも人から人への感染が多く報告されています。この場合、食品には下痢の原因が思い当たりません。ノロウイルスに感染しても症状の出ないままウイルスを飛散させる(無症候性キャリア)もいます。

ノロウイルスの症状は突然始まる嘔吐、水様性下痢、腹痛です。

  冬場は特に多くなりますが通年で発生します。38℃までの発熱、倦怠感、頭痛などがみられることもあります。健康な人であれば1~3日間で自然に治癒します。感染性胃腸炎では多くの場合に同様な経過をたどりますが、ノロウイルスでは突発的な嘔吐が特徴的で、細菌性胃腸炎では腹痛や発熱、下痢が前面に目立ちます。
ノロウイルスに効果的な治療薬はありません。制吐剤や整腸剤、輸液により症状の改善をはかります。しかし症状が改善した後も1週間から1か月糞便中にウイルスを排泄することがあると言われていますので、登校中の児童や、食品関係に従事する人々では注意が必要です。しかし実際は1週間も学校を休んだり,休職することは困難で下痢や嘔吐が治まれば就業や登校してしまうのが現実です。
  冬場はインフルエンザ同様にノロウイルスにもなる可能性があることを頭に入れておかなくてはいけません。予防接種のないノロウイルスの予防には、マスク着用や外出後の手洗いを習慣づけておくとよいのですが。
  ノロウイルスの消毒は次亜塩素酸が有効です。ハイター(漂白剤)を250倍に希釈(水1Lにハイター4ml)し、洗面所や便器など汚染された所を拭いてください。吐物はマスク、ビニール手袋をしたうえでビニール袋に集め中に次亜塩素酸液を入れ密封します。床は広範囲に拭いておきます。タオルや下着など汚物で汚れた場合は次亜塩素酸液に漬け置きしてから洗濯します。布団は布団乾燥機。手は親指や指の間が洗い残しが多いのでよく洗ってください。