健康の基本は血圧かもしれません。

 健康診断でも診察室でもまず血圧測定をしています。血圧はどのように測っているのでしょうか?まず上腕にマンシェット(ゴムを布でくるんだ圧迫帯)かを巻きます。圧迫帯の中に空気を送り込みます。圧迫帯が腕を取り巻くように膨れて腕を圧迫すると、同時に腕の中を通る上腕動脈を圧迫します。血液が流れなくなります。長時間だと腕先がしびれてきます。空気を抜いて圧迫帯を徐々に緩めると血管の中に隙間が出来始め、心臓の収縮に合わせ血流は断続的に流れ出します。聴診器を聞いていると血液が遮断されているうちは無音ですが、流れ始めた時に「シュ、シュ、....」と音が聞こえ始めます。この音は少しずつ小さくなって最終的に聞こえなくなります。聞こえなくなった時は血管の壁が十分に開いて血液がスムーズに流れるようになった時です。看護師は聴診器から音を聞きながら血圧計を見ています。音が聞こえ始めた時の目盛が最高血圧、音が聞こえなくなった時の目盛が最低血圧です。血圧の単位は㎜Hgです。上の血圧が120と言うのは120㎜Hgのことです。水銀を120㎜(=12㎝)押し上げる力です。

 

一般的な腋下体温計のように血圧計の中心には銀色の棒があります。

この銀色の縦棒は水銀が細いガラス管の中に詰まっています。例えば基準点0㎜から120㎜上がったところには120の目盛があります。血圧120ならここで音がし始めたわけです。水銀の比重は約13.6ですからこのガラス管の中に水銀の代わりに水が入っていたら120×13.6=1632㎜(=1m63㎝)の高さの血圧計が必要になってしまいます。血圧計が水銀で出来ているのは構造が単純となり丈夫でかつコンパクトになるからです。当院で診察室で使用しているのは水銀血圧計ではありません。水銀血圧計は、水銀を使用しているために廃棄処分が難しく環境にやさしくないことが問題になっています。
 
 

最高血圧と最低血圧

最高血圧とは心臓(心室)が収縮して動脈に血液を送り込んだ時の血管壁にかかる圧力です。最低血圧とは心室が拡張し心房から血液を吸いこむ時の血管壁にかかる圧力です。心臓が収縮した時に動脈に送り込まれた血液は、動脈壁が拡張して動脈内に溜めこまれた後に動脈壁が縮むに従って末梢に少しずつ送られていきます。ちょうどフイゴの役割と動脈壁の役割は似ています。
右手で測っても左手で測っても血圧は原則同じです。もし20以上違っていたらどちらかの血管に狭窄があるかもしれません。大動脈炎などの病気が考えられます。 

うめやま医院 高崎市 泌尿器科