朝からバナナのような形のよいうんちが出ると気分も上々ですが、便秘で苦しんでいる人がたくさんいます。

 最近便秘になったので薬局で便秘薬を買って飲んでいた。調子がよくなったけれど半年程経った時に、便に血が混じっていた。あわてて病院へ行ったら大きな直腸がんが見つかったなどということがあります。便秘はまず原因を診断することが大事です。便秘はその原因から大きく2種類に分かれます。腸管が狭くなって、便が通過しにくくなって起きる便秘(器質性便秘)と腸の形に異常はないが、腸の動き(蠕動運動)に異常があって起きる便秘(機能性便秘)です。

便秘症で見逃してはいけないのは大腸がんなどの悪性疾患です。

 がんによるしこりがだんだん拡がって大腸内腔に突出してきて腸管を狭くします。便秘が始まっているということはある程度大きくなっている可能性があります。がんの表面がただれて出血を起こし微量の血液が便の中に混入していることが多いので、検便(便潜血検査)をすると多くの場合は陽性に出ます。便潜血検査で見つかるのはがんだけではなくポリープや憩室炎、大腸粘膜の炎症などでも陽性になりますので、潜血陽性の時は大腸内視鏡などで診断が必要です。大腸は盲腸~上行結腸~横行結腸~下行結腸~S状結腸~直腸~肛門からなっています。盲腸や上行結腸の辺りでは便は泥状ですが、S状結腸、直腸になると硬くなって糞塊となってきます。泥状の時は通過障害が出にくいので大腸の始まり部分(盲腸~上行結腸)にできた腫瘍では便秘などの症状はかなり進行するまで出にくいのが特徴です。従ってこれらのがんを発見するためには年1回の定期健康診断で検便をしておくとよいでしょう。

もう一つは機能性便秘です。

便が腸を通過するのに通過時間が早いと下痢となり通過時間が遅いと便の水分が吸収されて硬くなり便秘となります。食物繊維は水分を吸収し便を軟らかくするとともに、便を膨張させるので大腸壁が進展し刺激を受けて蠕運動が活発になり通過時間を短くします。便秘にはまず食物繊維といわれる所以です。身体を動かすと腸の運動も活発になります。運動不足は便秘の原因になります。寝たきりの高齢者はこのためしばしば便秘となります。腹筋などが衰えると腹圧が下がり便を押し出す力が弱くなり排便もしづらくなります。体調不良や精神的ストレス、緊張状態などでは腸の運動が亢進して腸が緊張状態となって過収縮し便が通過しなくなる痙攣性便秘になります。

排便の回数は人それぞれで、3日に一度の排便でも体調が良ければそれは問題ありません。毎日排便が無いからと下剤や浣腸剤を長期にわたり必要以上に連用するとかえって腸の力を弱くします。

 一般的に使われる下剤には便軟化剤と刺激性下剤があります。マグラックスなどの便軟化剤は便中に水分を蓄え便が膨張し大腸の自然な収縮を促し排便をスムーズにします。コーラックやセンノサイド、センナなどの刺激性下剤は大腸壁を直接刺激して収縮させ便を移動させます。長期間使用すると大腸の動きが下剤に依存するようになり下剤を飲まないと排便しにくくなります。刺激性下剤の治療は短期間にとどめるべきです。日常生活では、朝食後などに起きる便意を無視しないようにしましょう。排便のリズムが狂い、排便反射が鈍くなってしまいます。そうすると直腸に便が滞留しても便意を感じなくなってしまいます。