誰もが若くありたいと思っています。

 いつもの仲間と会っていると自分が年をとっていることなど気づきません。でも久しぶりに昔の友人に会った時、あいつも年だなあと感じます。車に乗っていて街でいつもの仲間が信号待ちなどをしているのを見つけた時、それなりの年齢に見えるのはなぜでしょうか。きっと周囲に比較の対象があるからです。客観的に見れば自分もカレンダー通りの年になっているのです。

では若さを保つためにはどうしたらよいのでしょうか?

 人の身体は血管から老いていきます。動脈硬化です。動脈硬化を遅らせることが大切です。動脈硬化の原因はコレステロールです。
 コレステロールは人間の身体では細胞膜やホルモンの材料となる大事な脂質です。食物として吸収されたり肝臓で合成されて血管を通って身体の各所へ運ばれます。血液中のコレステロールは蛋白質と複合体を形成(リポ蛋白)して運ばれます。この複合体は比重の重さによって、高比重リポ蛋白(high density lipoprotein:HDL)低比重リポ蛋白(low density lipoprotein:LDL)に分かれます。
 コレステロールを運ぶ状況をトラック輸送で例えてみます。肝臓から身体各所へコレステロールを運ぶトラックをLDLトラックとします。身体で余ったコレステロールを肝臓に戻す(回収する)トラックをHDLトラックとします。LDLトラックが多ければ身体にコレステロールが溜まり、HDLトラックが多ければ身体からコレステロールが減ります。LDLトラックは血管内を通る時、血管の壁にコレステロールを置いていきます。LDLトラックが多ければ多いほど血管にコレステロールが沈着します。血液検査をした時にLDLトラックに相当するのがLDLコレステロール値です。LDLは通称悪玉コレステロールです。HDLトラックに相当するのがHDLコレステロール(善玉コレステロール)です。善玉が多いと動脈硬化は改善します。

血管の壁はすべすべした内膜、筋肉からなる弾力のある中膜、外側の薄い膜の外膜の三層構造です。

 コレステロールは内膜と中膜の間に沈着します。アテロームと言います。溜まると徐々に血管の内腔を狭くします。初期の内は無症状です。心臓の血管が80%狭くなる(20%開存)と、坂道や階段を昇ったり、一生懸命体を動かした時に、心筋の酸素需要に血流が追いつかなくなって胸が苦しい(狭心症)などの症状を起こします。内膜に傷がついてそこが剝がれると、血球がそこに張り付き塊(血栓)となって血管を閉塞します。心臓の血管で起きれば心筋梗塞、胸に焼け火箸を押し当てられたような激しい痛みが走ります。三途の川を一足先に渡ることになりかねません。

 

心臓の血管と同じようなことが脳の血管で起きれば脳梗塞です。

 梗塞とは動脈などの血管が詰まり、そこから先の支配領域の組織が酸素がいかなくなったために虚血性壊死に陥ることです。壊死になると再生することはありません。もちろん健康な血管が梗塞になることはありません。血管の狭窄や壁の不整があるからです。その一番の原因は動脈硬化です。
 
 

脳は大脳、小脳、脳幹に分かれます。それぞれの部位で脳梗塞の症状は違います。

 小脳梗塞:小脳は歩行、手足の運動、口、目など運動機能やそのバランスを調整する機能があるため、小脳に梗塞が起こると身体がふらつく、立てなくなる、目が廻る、ろれつが回らない、吐き気、嘔吐、頭痛などの症状が出現します。小脳梗塞になると、リハビリなどである程度機能回復ができますが、杖や車椅子が必要になって、誰かの介助が必要となり元のような生活には戻れなくなることも多くなります。
 
 脳幹梗塞:脳幹からは臭覚、視力、眼球運動、咀嚼機能、味覚、表情筋(顔の筋肉)などに関係する脳神経が出ています。大脳皮質から身体各部への感覚神経や運動神経の通り道でもあります。脳幹梗塞の症状としては、意識障害、顔面の運動、感覚の異常(顔の半分または一部が動かせない)、眼球運動障害(眼が動かない、二重に見える)、めまい、手足の運動や感覚の障害などがあげられます。呼吸中枢があるので脳幹梗塞は死の危険も高くなります。
 
大脳の梗塞:詰まる血管の部位や範囲によって症状は多彩です。物が呑み込めない。呂律が回らない。言葉が出てこない、うまく話せない。聞いても理解できない。片側の手足や顔面の麻痺。皮膚感覚の麻痺。意識障害、めまい、吐き気、嘔吐など症状は多彩です。下図は大脳の横断面図です。


大脳皮質の場所に占める身体各所の支配領域を示しています。手や口の動きにたくさんの神経細胞が関与していることがわかります。それだけ細かな動きと感覚が保たれているわけです。

 ラクナ梗塞:高血圧によって起きる動脈硬化が原因と言われています。血管の壁が傷つき、厚くなるためにそこから先の血流が乏しくなるために起きます。睡眠中や起床時に現れ徐々に症状が進行していくこともあります。脳の細い血管に起き直径1.5cm未満の梗塞です。隠れ脳梗塞とも言います。無症状の事もあり、脳ドッグで初めて指摘されることもしばしばです。