寝たきりになった人の介護で家人が一番気をつけなくてはいけないのは褥瘡(床ずれ)です。

寝たきりで長時間経つと、身体に加わった外力が皮膚と骨の間にある軟部組織の血流を低下させ、あるいは停止させます。この状況が一定時間持続した場合に組織は血流障害による酸素不足のため壊死し褥瘡となります。
 健康な人では持続的な圧迫が続くと「痛い」「シビレル」などの感覚を自覚し、寝返りやイスの座り直しなどにより無意識に体位変換を行い、除圧を図っているために褥瘡が生じることはありません。しかし、脳卒中や、脊髄の病気、関節の屈曲拘縮(曲がったまま固まった状態)があると、知覚神経麻痺のために痛みや痺れを感じることができなかったりします。また痛みや痺れを感じても運動麻痺のために手足を動かせなくて局所の圧迫が続き褥瘡となってしまいます。

 褥瘡ができやすいのは、皮下脂肪が少なく、身体の構造上で骨が突出している部位です。仰向けになって寝ている場合仙骨部に体重の半分近くが集中します。このため仙骨部は褥瘡の好発部位となります。踵や肩、肘、後頭部などにも褥瘡はできます。横向きになって寝ているときには太腿や腰の側面が圧迫されるのでここにできます。

褥瘡が発生する要因

1. 皮膚の老化(加齢とともに皮膚は薄くなる)
2. 寝具(パジャマやシーツのしわ、ずれ)
3. 発汗、尿便失禁による皮膚の湿潤
4. 低栄養、貧血、浮腫(むくみ)
5. やせ:皮下脂肪が減少し骨が突出する
6. 関節の拘縮
7. 基礎疾患(糖尿病や動脈硬化など)

などがあげられます。できる限り寝たきりの人ではこれらの要因を避けるように注意しておくことが大事です。

褥瘡の対策

 褥瘡対策の基本は褥瘡の予防です。褥瘡の予防は皮膚の観察で始まります。褥瘡が発生しやすい仙骨や踵など体重のかかりやすい部位の皮膚を観察し早期発見に努めます。褥瘡初期に皮膚は赤くなります。皮膚が赤くなっていたらその部位を指で押してみます。白く変色し指を離すとまた赤くなる時には一時的な充血で褥瘡ではありません。指で圧迫しても赤味が消失しない場合褥瘡の初期と考えられます。透明なガラス(コップなど)で皮膚を3~5秒ほど圧迫して皮膚の赤みが消えるかどうかで判断する方法もあります。皮膚の赤みが消失しなければ褥瘡の疑いがあります。褥瘡の初期では圧迫により皮下の微小血管が破綻し赤血球が組織内に漏れ出しているので圧迫しても赤味が消失しません。

褥瘡ができてしまったら

 褥瘡部位やその周囲のマッサージは皮下組織の炎症や新しい損傷の原因となるのでやらない方がよいです。円座(ドーナッツ型の尻枕)は仙骨部位の皮膚を引っ張ったりすることがあるので専門家に相談して使用するようにしてください。
褥瘡の危険度=圧力の強さ×圧迫の時間です。
体位変換(2時間毎が目安)やエアーマット等の褥瘡予防用具を使用して同じ姿勢で長い時間寝かせない。またパッドを充てて力が一転に集中するのを分散させ、なるべく広い範囲で圧力を受けることなどを心がけてください。もしもできてしまったら、ひどくならないうちに医師や訪問看護の人などに早めに相談をしてください。