鬼ごっこ、かくれんぼ、チャンバラ、野球、..はるか昔の思い出です。女の子ならままごと、お人形さん遊びというところでしょうか。しかしそれらが楽しい思い出ではなくてつらい過去の日々として残っている人々がいます。修学旅行や入学式の制服まで、すべてがつらい体験だったことと思います。GID(Gender Identify Disorder:性同一性障害)の人々です。多くの人は精神上の性と身体の性が一致している状態(性同一)ですが、性の自己認識(心の性)と身体の性が一致していない状態です。女の子であれば、赤いランドセルやスカート、長い髪に違和感を覚え、男の子であれば、野球や手裏剣投げより、ままごとなどに興味を抱く、そんな自分がなんとなく周囲と違うことに気づきながらも誰にも言えない幼少期を過ごします。 思春期を迎えて、胸が膨らみ生理が始まると、あるいは髭が生えてきて声変りが始まると….、決定的な身体変化でその人の悩みはさらに深くなります。親や友人に打ち明けるまで、どのくらいの悩みがあるのか、どのくらいの長い時間ががかったのか、….。
カナダでの事件、生後8か月の男児が事故で外性器を失いました。性別適合手術を行い女児として育てました。14歳の時に父親から真相を聞かされた彼は、自分を女の子と感じたことは一度もないことを告白し、その後は男性として暮らした。という事例がありました。
人間の脳は胎児期の内からホルモンの作用を受け、身体の性と一致した脳に分化発達すると考えられています。それが何らかの原因で身体の性とは別の脳として性分化した場合がGIDと考えられています。
目をつぶって想像してみてください。
…..ある日目が覚めたら自分の身体は反対の性になっていた。
周りの人々、親、兄弟、友人、会社の同僚すべてが自分を反対の性で見ていたとしたらどうでしょうか?自分がいかに“違う”といっても周囲の人々は納得してくれないでしょう。どうやって説明しますか?心と反対の性のまま暮らすことができますか?おそらく時間をかけて説得するしかないでしょう。事情を知らない人から見たら異性になりたいように見えるかもしれませんが、本当の性に戻りたいのです。
GIDは、オカマや女装趣味とは違います。オカマというのは男性同性愛者を指す俗称です。女装趣味というのは心も体も男性で女装を趣味としているだけです。同性愛は性的趣向が同性であって自身の性別に違和感を持っているわけではありません。ニューハーフとは男性であることを明らかにしたうえで女性として接客業を行う職業名です。ニューハーフの中には普通の男性もGIDの人もいますが、GIDの人々の多くは特殊な環境を好まず一般的な職業についています。
マツコデラックスさんやはるな愛さん、佐藤かよさんなどのタレントの皆さんの活躍もあって、GIDは世間に知られることとなっています。ただ、タレントはあくまでもバラエティやメディアの中での造られた姿での誇張が含まれているので、普通に生きることを望むGIDの人々と同一には考えられません。世間の見方も変わり理解もすすんできています。日本では平成15年に法律が改正されある一定の要件を満たす場合に戸籍上の性別が変更できるようになっています。しかしGIDのみなさんは、自分の身体を心と同一に維持するために注射や薬を続けています。皆さんの理解と応援が必要です。